異界ふしぎ発見!

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「眩しくなくなったので目を開けてみると、そこは最寄駅の前。迎えに来た両親が車からはすみさんを呼んでいました……そう、もとの世界へ戻ってこれたんです」  カメラがパーンすると、道端に停めた乗用車の車内から、窓越しに手を振る中年夫婦の()が映る。 「それでは最後のクェスチョンです。こうして無事、もとの世界へ戻ることのできたはすみさんだったのですが……じつは彼女の身にあるとんでもない異変が起きていました。その異変とは、いったいなんだったのでしょうか?」  竹内の出題とともに、またあのチャラララ、チャラララ、チャラララ、チャラララララ〜…というBGMが流れ、画面はスタジオへと戻る。 「それは見てすぐわかるものですか?」 「あまり目に見えてわかるというものではなさそうですね。まあ、怪談にはいくつかベタなオチというのがありますが、これもその一つと言えるでしょう……では、お書きください」  野々宮の質問に、マッチョな司会者はそんなヒントを与え、早々、解答を書くよう皆を促す……三人が電子ペンを持つ手を止め、残った赤い衣姿の〝超ふひとくん人形〟をベットすると、また司会者がそれぞれの答えを順々に見てゆく。 「全員、ポイント三倍の超ふひとくんを残しています。まずは黒羊さんからいきましょう……〝歳月が過ぎていた〟?」 「ええ。浦島太郎も竜宮城から帰ってきたら長い年月が過ぎてましたでしょう? あんな感じでじつはもう何十年も過ぎてたんじゃないかと。ええ、ええ」  相変わらずのポーカーフェイスで尋ねる司会者に、こちらも相変わらずの早口で黒羊が説明する。 「まこと君は〝両親が別人〟……というのはどういうことですか?」 「迎えに来てくれていたお父さんお母さんが実は別人に変わってたんですよ。はすみさんは知らない人なのに、二人は両親だと言い張るような……そんな怪談、聞いたことあるような気がするんです」 「なるほど……墓田さんは〝もう死んでた〟?」  不安げな表情で答える野々宮に、まるで気持ちの籠ってない口調で司会者は相槌を打つと、速攻、最後の墓田に話を移す。
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