来年もこれからも

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来年もこれからも

「母の地元で有名なお蕎麦をもらったので」 大みそかに五月さんの部屋にお邪魔する。 部屋についたら五月さんはすでにそばをゆでて待っていてくれた。 「まだ八時だけど食べちゃいましょう」 おなかがすいた俺たちは、 年越しではないけれどそばを堪能した。 「おいしかったです」 片づけを手伝いながらそういうと、 「よかった」 五月さんも嬉しそうだった。 年末のテレビを見ながら、 食後をまったりと過ごしていた。 横並びに座った彼女に少し近づいて、 そっと肩を抱いた。 五月さんも俺の方に頭をもたれた。 「真島さんの隣は安心します」 「そうですか?俺結構乱暴ですけど」 自虐するとなぜか五月さんのほうが慌てる。 「あ、あの時は…」 「怖かったでしょ?ごめんなさい」 「嫉妬…してくれてたって思っていいんですよね?」 遠慮がちに聞かれて恥ずかしくなる。 「ま、まぁそういうこと…です」 「だとしたら、うれしいです。それに」 少し俺に近づいて見上げてくる。 「真島さんなら、あのくらい強引でも… その…うれしいです」 !! この人にはいつも驚かされる。 「な、何言ってるんですか! こ、これからはちゃんと優しくするんで…」 「…正直、真島さんなら、多少乱暴でも…」 俺はぐっと彼女を抱き寄せて、 「そんなこと言ったらだめです。」 と言った。 「え?あ、ごめんなさい」 「俺、簡単に理性失っちゃいますよ」 「…あ、は、はい」 ったくもう、わかってんのかわかってないのか…。 「あ、あと“映司”って呼んでいいですか?」 「へ?」 「あ、もちろん“さん”付けで呼びますんで」 はぁ、好きすぎる。 「いいですよ、映司、で。」 「ほんとですか?」 「それにの方が年上なんで、敬語もいらないですよ」 わざと名前で呼び捨てた。 彼女は大きく目を見開き、 みるみる顔が紅くなっていった。 「わ、わかったよ、映司」 ! これはやばいな。 多分今、俺のほうが紅くなってる。 「も、もうすぐ年越しだね」 「あ、ほんとだ」 「あ、あの、来年も、 ううんこれからもずっと、よろしくお願いします」 そう告げる彼女の頭をポンポンして、 「こちらこそ」 と言って彼女を抱きしめた。              終わり
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