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「それでは職員会議の結果、柔道部の廃部が決定しました」
「そんな、ちょっと待ってください」柔道部の顧問の武田彩乃が抵抗していた。
「武田先生、もう決まったことです。諦めましょう。それに柔道部員、一人しかいてないじゃないですか。廃部も仕方ないですよ」佐伯莉子は言った。
「そんな……」武田彩乃は悔しそうにしていた。
「武田先生はツライでしょうから私が橘さんに伝えに行きますね」そう言って佐伯莉子は職員室を出た。
柔道部は廃部になる。そうなれば我が茶道部が柔道部の部室を貰い受けよう。そのために今まで画策して柔道部を廃部に追い込んだようなものだ。
佐伯莉子は柔道部の部室の前に来ると扉を叩いた。中から扉が開き、柔道部員の橘月葉が出てきた。
「先生?どうしたんですか?」
「橘さん。ちょっと話があるんだけど……」
「話?」そう言いながら橘月葉は部室の中へと入っていった。
佐伯莉子もついて行くように部室の中に入った。
「それで、話ってなんですか?」橘月葉は聞いた。
「とても、言いにくいことなんだけど……。職員会議で柔道部の廃部が決まったの」
「廃部!?なんでですか!私、ちゃんと練習もしてます!」
「でも、橘さん。柔道部員、あなた一人だけじゃない」
「一人でもちゃんとやってます!このトロフィーを見てください。個人の部で優勝もしてるんですよ!」
「いくら優勝してても一人じゃ部活動を認めるわけにはいかないわ」
「なんでですか!私、一人がいてたらいいじゃないですか!」
「そういうわけにはいかないのよ。残念だけど……」
「待ってください!なんとかならないんですか?」
「もう決定したことなのよ。ごめんね」
「そんな……」そう言って橘月葉はしゃがみこんだ。
佐伯莉子は橘月葉のそばに寄ってポンっと肩を叩いた。そして、内心ほくそ笑みながら、部室をあとにしようとした。そのときに、後ろから「うわゎぁー」という声が聞こえたので振り返ると前頭部に強い衝撃を受けて、ふらふらっと後ろに倒れた。そして、そのまま意識がなくなった。
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