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プロローグ
「癒しがないの」
私、雨宮 紗希の口癖はそれでした。
というけれどきっと、世の中の多くの人はそう思っているかもしれません。
20代、30代、40代と歳を重ねても、人は常に誰かに何かを求めています。
20代なら結婚、30代なら子ども、40代なら仕事と、人が生きていく上で何かを求めるのは自然の摂理のようでもあります。
そこには必然的にストレスが生まれると私は思っています。
じゃあ、ストレスを解消できる何かをしたらいいのでは?と、人は言います。つまり、趣味や娯楽でしょう。
ですが、それが一番難しいとも思います。何故なら、趣味や娯楽ほどお金も時間も使ってしまうのです。
つまり、ストレスは解消されない。それが現代人の悩みでしょう。
かくいう私もそうでした。以前は好きだった漫画も本もアニメもドラマも、トキメキを感じなくなっていました。
それよりもやらなければならないことが私にはありました。
疲れやストレスは溜まるだけで減りはしません。私はヘトヘトに疲れていました。
家じゃない、どこか別の場所に行きたい。そう思うようになり、ある日、本当に家から飛び出してしまいました。衝動的だと自分でも思います。
だって私は母なのだから、そんなことしてはいけない。
ずっとそう、思ってきたのです。
ですが、結果、あの時、衝動的になれて良かったと今なら思います。
あの時、ふらふらと入った喫茶店で思いがけない出逢いがあったのです。
これは私と、とある二人のゲイカップルが出逢ったお話です。
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