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第一章 ホームレスと副社長
どこにでもあるごく普通の都会のような田舎のような金奈市(こんなし)。
駅前にはオフィスビルが広がり、自社ビルを構える企業もありにぎわっている。
オフィスビル街でもひと際目立つ自社ビル「宗田ホールディング」。
10階建ての横長のビルは、日当たりも良く屋上も囲いがしてあり雨の日でも使えるようになっている。
1階はエンントラスになっていて、受付嬢が2人いる。
2階から各部署に別れていて、最上階の10階には社長室と副社長室がある。
落ち着いた空間が広がり、壁紙はさわやかな白、南向きの窓からは優しい日差しがいつも入ってきてまぶしい時はブラウィンドが降りてくる。
机は高級素材の木製で、椅子も座り心地の良い皮素材。
接客用に木製のテーブルと黒皮のソファーが中央に置いてある。
宗田ホールディングは世界的取引があり、社長も副社長も毎日忙しく、会議はいつもテレビ会議で行っていてなるべく出張など現地へ向かう事をしないようにしている。
今日もテレビ会議が行われ、一息ついて戻ってきた副社長。
スラっとした長身にさわやか系のイケメンタイプの副社長は宗田香也(そうだ・こうや)。
現在28歳になったばかりで、2年前に副社長へ就任した。
切れ長の目がクールで魅力的な香也は、いつも女子社員から注目され交際申し込みが絶えない。
副社長に就任してから1年後に、同僚の内金恵理子(うちがね・えりこ)35歳と交際が始まり3ヶ月後には婚約したが、2ヶ月で婚約破棄。
その理由は恵理子がお金を持ち逃げしたと言われている。
婚約破棄と同時に、恵理子は退職したが、それと同時に恵理子の横領疑惑が浮上。
経理からは以前より計算が合わないと報告は受けていたが、調査しても原因が不明のままだったが、恵理子が退職する前日に10億円が海外の口座へ送金され、そこからあちらこちらの銀行を経由して行き先が不明になっている。
しかし、送金されたのは恵理子の使っていたパソコンから送金されていることは間違いなく、防犯カメラにはも深夜に恵理子が忍び込んできてパソコン操作をしている姿が映っていた。
警察に被害届を提出するものの、恵理子は行くへ不明。
証拠もまだ曖昧で、恵理子が犯人だと断定するまでには至っていなかった。
婚約破棄から6ヶ月後。
香也の妹香恋(かれん)が歩道橋から転落して死亡した。
香恋は警察官で、恵理子のにいて調べていた。
恵理子が過去に何をしてきたのかを香恋が掴みかけた矢先の事で、香也はかなりショックを受けていた。
妹の死から3週間経過して、香也も仕事にやっと復帰できたところだ。
コンコン。
ノックの音に仕事の手を止め顔を上げた香也。
「失礼します」
しっとりとした声が聞こえて、ドアを開けて一人の女性が入ってきた。
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