第一章 ホームレスと副社長

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 スラっとした綺麗な細い脚の女性。  に黒いパンプスを履いて、ブルーのスーツに身を包んだ女性にしては長身の推定170cmはありそうなモデルタイプ。  しかしスタイルに相反して顔は大きなメガネをかけて、ボサボサのボブヘヤーで地味子と言われるタイプ。    この女性は秘書課の冬子(ふゆこ)。  ちょっと訳アリで雇われている。   「副社長。これに目を通して下さい」  一通の書類を机の上に置いた冬子。 「一通り目を通されましたら、印鑑を押しておいて下さい。後ほど、取りに伺います」  スッと丁寧なお辞儀をして、冬子はそのまま去って行こうとした。 「待って」    去ってゆく冬子を呼び止めた香也は、そのまま立ち上がり歩み寄ってきた。  伏し目がちで歩み寄ってくる香也を待っている冬子は、どこか息を潜めているように見える。 「ねぇ、今日のランチ時間空けてもらえる? 」 「え? い、いえ私は…」 「断ることは許さないよ」    言いながら冬子の肩に手を置いた香也。  冬子は俯いてしまい、小さく息をのんだ。 「僕は君を10億で買ったんだから」    そう言われると、冬子は諦めたように項垂れた。 「…分かりました…」  小さく返事をした冬子。  そんな冬子を見ると、香也はちょっとだけ辛そうな目を浮かべた。 「エントラスで待っているから」 「かしこまりました」    うつむいたまま返事をすると、冬子はそのまま去って行った。 「…ごめん…」  冬子が去った後、香也は罪悪感に見舞われていた。  あんな言い方たかったわけじゃないけど。  ああ言わないと、言う事聞いてくれないし…。  そのまま仕事に戻った香也。      香也と冬子。  実はこの二人は訳アリの関係なのだ。        
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