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スラっとした綺麗な細い脚の女性。
に黒いパンプスを履いて、ブルーのスーツに身を包んだ女性にしては長身の推定170cmはありそうなモデルタイプ。
しかしスタイルに相反して顔は大きなメガネをかけて、ボサボサのボブヘヤーで地味子と言われるタイプ。
この女性は秘書課の冬子(ふゆこ)。
ちょっと訳アリで雇われている。
「副社長。これに目を通して下さい」
一通の書類を机の上に置いた冬子。
「一通り目を通されましたら、印鑑を押しておいて下さい。後ほど、取りに伺います」
スッと丁寧なお辞儀をして、冬子はそのまま去って行こうとした。
「待って」
去ってゆく冬子を呼び止めた香也は、そのまま立ち上がり歩み寄ってきた。
伏し目がちで歩み寄ってくる香也を待っている冬子は、どこか息を潜めているように見える。
「ねぇ、今日のランチ時間空けてもらえる? 」
「え? い、いえ私は…」
「断ることは許さないよ」
言いながら冬子の肩に手を置いた香也。
冬子は俯いてしまい、小さく息をのんだ。
「僕は君を10億で買ったんだから」
そう言われると、冬子は諦めたように項垂れた。
「…分かりました…」
小さく返事をした冬子。
そんな冬子を見ると、香也はちょっとだけ辛そうな目を浮かべた。
「エントラスで待っているから」
「かしこまりました」
うつむいたまま返事をすると、冬子はそのまま去って行った。
「…ごめん…」
冬子が去った後、香也は罪悪感に見舞われていた。
あんな言い方たかったわけじゃないけど。
ああ言わないと、言う事聞いてくれないし…。
そのまま仕事に戻った香也。
香也と冬子。
実はこの二人は訳アリの関係なのだ。
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