12.5 夏実と眞冬

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「あゆ?夏実?どーしたんだよ、急に」 「眞冬にぃ、夏実お姉ちゃんとお話しして!」  歩咲ちゃんにそう言われて、眞冬は戸惑いの表情を浮かべる。 「何を?」 「眞冬にぃ、お礼が言いたいって言ってたでしょ?だから、お礼を言って、もっと夏実お姉ちゃんと仲良くなって!」  歩咲ちゃんの言葉に心当たりがあるのか、眞冬は頬を掻きながらそっぽを向く。 「……そだな。ちゃんと言わなきゃ、伝わんねぇよな」  眞冬はそう呟いて、歩咲ちゃんに 「あゆ、向こうで他の子達と遊んでてくんないか?」  と優しく笑った。 「眞冬にぃ、ちゃんとお礼言う?」 「おう。ちゃんと言うよ」 「分かった!じゃあ歩咲、あっちに行ってる!」  歩咲ちゃんは元気にそう返事をして、花火を楽しむ施設の子達の方へ走っていった。 「……眞冬、お礼って何のこと?」  私が尋ねると、眞冬は少し照れ臭そうな顔で、私を見た。 「今までのこと、全部」 「全部……?」  私は、眞冬が言っている意味が分からず、首を傾げた。
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