2

1/18

7人が本棚に入れています
本棚に追加
/141ページ

2

「はぁっ、はぁ…………」  千秋くんと一緒に、私は北原邸に逃げ帰ってきた。家の中に入ろうと、玄関の扉の取っ手に手をかけると、内側から扉が開いて、中から慌てた様子のお父さんが出てきた。 「春花!千秋くん!」 「お父さん……」  お父さんは、私たちの肩を強く掴んで、深いため息をつく。 「無事で…………良かった。子どもだけで出歩かせるべきじゃなかったな…………。本当に、本当に……無事で良かった……」 「っ……、お父さん…………」 「伯父さん……」  お父さんの言葉に、安心した私たちの瞳から、涙が溢れ出す。 「怖かった……怖かったよ…………」 「僕も……」 「ああ……もう大丈夫。大丈夫だよ。ほら、中に入ろう」  お父さんに促されて、私たちは家の中に入った。すると、玄関のすぐ側で、叔母さんがメイドさんに押さえ込まれながらもがいていたんだ。 「止めないで!千秋が危ない目に遭ってたらどうするの!探しに行かせて!!」 「桃子様!高次元生物が発生しているのに、危険すぎます!!」 「お客様を危険な目に遭わせる訳にはいきません!!」 「母さん……!」  千秋くんの声に気づいた叔母さんは、メイドさん達を振り払って、彼の元に駆け寄り……抱きしめた。 「千秋…………!」
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加