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 ジメジメした梅雨の季節がやってきた。  私は、新しい長靴を買うために、おばあちゃんと一緒に商店街の靴屋さんに向かっているところだった。  さした傘から雨粒を弾く音が聞こえる。傘の外側にある水溜まりには、絶え間なく降り注ぐ雨が丸く模様を描いていた。  スニーカーが濡れないように、水溜まりをぴょんと飛び越えて、私はおばあちゃんの隣を歩く。 「春花はどんな長靴が欲しいんだい?」 「ん?うーんとね……可愛いのがいい!」  私は足元に注意して歩きながら、おばあちゃんに答える。  すると、おばあちゃんはクスリと笑ってこう聞いてきた。 「じゃあ、またピンク色の靴にするのかい?いつもピンク色の靴だけど、それでいいの?」 「え?そうしよっかなって思ってたけど……、変えた方がいいかな?」 「ふふっ、たまには色を変えて、オシャレしてみてもいいんじゃないかなと思ってね。ほら、長靴って、梅雨にしか履けないでしょ?今だけのオシャレを楽しんでみたらどう?」  今だけのオシャレ……。  たしかに、おばあちゃんの言う通り、長靴は天気が悪い時しか履けないよね。  いつも通りピンクでもいいけど、新しい色にしたら、気分が変わってワクワクするかも! 「うん!新しい長靴は別の色にする!」 「ふふっ、そうかい。じゃあ、今年はゆっくり見て回ろうか」 「うん!」  私はおばあちゃんに元気よく頷いて、商店街へ向かって走り出した。
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