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「1度消えても、また雨上がりに見られるかもしれないよ。その度に幸せになれるから、いいじゃないか」  そう言うおばあちゃんの、優しい声。ちらりとおばあちゃんを見ると、その顔も、すっごく優しい笑顔だった。  その時、思ったんだ。私、おばあちゃんの笑顔も、ずっと見ていたいなって。  おばあちゃんは、髪の毛も白くて、おててもシワシワで、もうすっかりお年寄り。だから、これから一緒に過ごせる時間は限られてるって分かってた。どんなに寂しくても、いつか、お別れしなきゃいけない日が来る。  でも、それまでは……少しでも長く、おばあちゃんと楽しく過ごしたいなって思ったんだ。  そう思った私は、大好きなおばあちゃん手をぎゅっと握った。 「おばあちゃん、約束しよ!」 「え?」 「また一緒に、綺麗な虹、見よ!ね?」  これからも、少しでも長く一緒に生きようっていう、未来の約束。おばあちゃんは、私の言葉を聞いて、嬉しそうに目を細めながら手を握り返してくれた。 「うん。約束ね」 「うん!……おばあちゃん、長生きしてね」 「ふふっ、もちろん。春花が大人になるまで、おばあちゃんが守るからね」  お日様の光が反射して、おばあちゃんの桃色の瞳がキラキラ輝く。私はその瞳の優しい輝きを目に焼き付けながら、おばあちゃんに向かって一生懸命微笑んだ。
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