7.5 孫の未来を見つめる気持ち

1/2
前へ
/141ページ
次へ

7.5 孫の未来を見つめる気持ち

「私、今年は赤にする!」  春花が赤い長靴を見せてくれた時、私は思わず笑顔を零した。  春花、その赤は何の赤?  りんご?いちご?昔見ていたテレビのヒーローの色?  ……ううん、きっとどれも違うね。  あなたの赤は、大好きな千秋くんの赤でしょう?  おばあちゃん、知ってるんだよ。  千秋くんが来てから、あなたが毎日笑顔で学校に出かけていくのも。千秋くんのお話をする時に、あなたがとっても嬉しそうな顔をしているのも。  あなたにとって、千秋くんがどれだけ大事な友達なのかってことも。  あなたが、こうして大切な人を見つけられたことが、おばあちゃんは、とっても嬉しいの。 「ふふっ、そう。分かったよ」  私は、孫の未来を想像して胸を踊らせながら、棚の下に置かれた、赤い長靴が入った箱の前にしゃがむ。 「じゃあ、春花のサイズのものを買おうか。何センチだったっけ?」 「えっと……19センチだったかな?」 「19……これだね」  19センチのものが入った箱の中から中身を取り出して、それを春花の前に並べる。 「サイズが合ってるか、履いてごらん」
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加