7人が本棚に入れています
本棚に追加
7.5 孫の未来を見つめる気持ち
「私、今年は赤にする!」
春花が赤い長靴を見せてくれた時、私は思わず笑顔を零した。
春花、その赤は何の赤?
りんご?いちご?昔見ていたテレビのヒーローの色?
……ううん、きっとどれも違うね。
あなたの赤は、大好きな千秋くんの赤でしょう?
おばあちゃん、知ってるんだよ。
千秋くんが来てから、あなたが毎日笑顔で学校に出かけていくのも。千秋くんのお話をする時に、あなたがとっても嬉しそうな顔をしているのも。
あなたにとって、千秋くんがどれだけ大事な友達なのかってことも。
あなたが、こうして大切な人を見つけられたことが、おばあちゃんは、とっても嬉しいの。
「ふふっ、そう。分かったよ」
私は、孫の未来を想像して胸を踊らせながら、棚の下に置かれた、赤い長靴が入った箱の前にしゃがむ。
「じゃあ、春花のサイズのものを買おうか。何センチだったっけ?」
「えっと……19センチだったかな?」
「19……これだね」
19センチのものが入った箱の中から中身を取り出して、それを春花の前に並べる。
「サイズが合ってるか、履いてごらん」
最初のコメントを投稿しよう!