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「母さん……心配掛けて、ごめんなさい…………」
「いいの!千秋が無事ならね、母さん、何でもいいのよ…………」
「……うん」
「……ほんっとに、無事でよかった。春花ちゃん、千秋を助けてくれて、ありがとね。この子、怖がりで、何かあると動けなくなっちゃうから……心配だったのよ」
叔母さんにそう言われて、私はすぐに思い出した。私たちを守ったのは、私の『桜』だったけど、私たちを助けてくれたのは、私じゃなくて千秋くんのアビリティだったってことを。千秋くんの『炎』があったから、私たちは逃げてこられたんだ。
私は首をブンブンと横に振った。
「叔母さん、違うの!千秋くんがね、『炎』で私を助けてくれたの!」
「え……?千秋が、『炎』を…………アビリティを、使ったの?」
「うん!私、怖かったんだけどね、千秋くんのアビリティ、綺麗だった!」
私は、そう言って叔母さんに笑顔を見せる。すると、叔母さんは……少し驚いていたけど、やがて、心の底から安心したような、優しい顔で私に微笑んでくれたんだ。
「春花ちゃん、ありがとう」
「……?う、うん」
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