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学校に着いて、私は下駄箱に長靴を押し込む。
早くみんなに見せたいけど、教室まで履いていく訳にはいからないからね。
学校が終わって帰る時間になったら、みんなに見てもらお!
夏実さんや、眞冬くんや……千秋くん。どんな反応するかな?ふふっ、楽しみ!
私は頬を緩ませながら、教室へと向かった。
少しウキウキしながら、廊下を歩く。油断すると、スキップまでしちゃいそう。
でも、廊下は走ったりスキップしたりしたら駄目だから……我慢しなきゃ。
私は、はしゃぐ気持ちをぐっと堪えて、教室の扉を開けた。
「おはよー!」
教室にいるクラスメイトから、春花ちゃんおはようって挨拶が返ってくる。ほんとは、挨拶してくれた人全員に、あの赤い長靴を自慢したかった。
でも、そんなことしたら、みんな困っちゃうから……我慢我慢。
私は自分の席に座り、隣にいる眞冬くんに笑顔を向ける。
「眞冬くん、おはよ!」
「おはよー。……ってなんか嬉しそうだな?」
眞冬くんは、眠そうに欠伸をしながらこちらを見て……すぐ、目を丸くした。
そんな眞冬くんを見て、私は思わずニヤニヤしてしまう。
心の中では、よくぞ聞いてくれました!!なんて、思わずにいられなかった。
「ふふっ!何があったか気になる?ねぇ、気になる?」
私は眞冬くんの机に身を乗り出しながら尋ねた。早く、眞冬くんに長靴のことを教えたくてたまらなかったんだ。
私の様子を見て、眞冬くんは口の端を上げる。
「何があったか、当ててやるよ」
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