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「はー……。お前のそういう素直なとこ、好きだけど苦手」
「うう……苦手なの?」
私は少し俯いて、上目遣いで眞冬くんの顔色を窺う。すると、眞冬くんは決まりが悪そうな顔をして、小さく呟いた。
「……でも好きだよ」
「えっ……?」
「だーかーら!お前のそーいう素直なとこ、好きだっての!」
「そ、そうなの?」
「そーだよ!たく……好きだからモヤモヤしてんだよ」
眞冬くん頭を掻きながら、赤い顔で私を見つめる。
ちょっぴり照れくさいけど、友達に好きって言ってもらえるのは嬉しいな。
特に、眞冬くんみたいな大事な友達に言ってもらえたことが。
私は嬉しくて、笑顔が堪えきれなかった。
「えへへ……ありがと、眞冬くん」
「っ……、ま、まあ、いいけど……。ほら、そろそろランドセル片付けてこいよ。先生来ちまうぞ?」
「あっ、そうだった!」
眞冬くんに促されて、私は急いでランドセルの中身を片付け、ランドセルを後ろの棚にしまいに行った。
私が席に着くと、丁度チャイムが鳴って、先生が教室に入ってきた。
先生は教卓の上に出席簿を置いて、私たちに笑顔を見せる。
「みなさん、おはようございます」
いつものように、先生のお話が始まる。私はそれを一生懸命聞いてたから、気づかなかった。
「友達、か……」
眞冬くんの、小さな小さなその声に。
眞冬くんの、気持ちに。
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