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僕がそう言うと、夏実さんは突然吹き出してしまった。
「ふっ……、ふふっ、志野くん……変な顔……あはは!」
「えっ!?そ、そんなに変な顔だった!?」
「うん……説明しにくいんだけど、すっごくおかしな顔だったよ?ふふっ、ふふふっ……」
夏実さんは涙を拭いながら、なんとか呼吸を整えようと必死だ。
うう、そんなに笑われるなんて……どんな顔してたんだろ……恥ずかしい。
穴があったら入りたいよ……。
「うう……」
僕が思わず俯くと、夏実さんは慌ててこう言ってきた。
「志野くん、ごめんね!馬鹿にしてる訳じゃないの。さっきは笑っちゃったけど、志野くんの力になりたいのは本当だよ」
夏実さんは、さっきとは打って変わって、優しい笑顔で僕を見ていた。
その穏やかな顔を前にして、僕の恥ずかしさとか、モヤモヤが少しずつ消えていく。
夏実さんになら、話せるかも……。そう思った。
僕は、周りにあまり聞こえないように、小声でぽつぽつと語り始める。
「あ、あの、ね……僕……ヤキモチ、妬いてたんだ。眞冬に」
「眞冬に?どうして……」
夏実さんは、僕の言葉を聞いて目を丸くした。
僕はチラリと前の席を見て、眞冬が先に帰ってしまったのを確かめてから夏実さんに小さく答える。
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