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「……春花ちゃんと、仲良く話してるから」
「北原さんと?」
「うん。春花ちゃんも、眞冬と一緒にいる時は、すごく楽しそうで……羨ましくて」
僕はそう言いながら、自分の両手を組み合わせてギュッと握った。
眞冬に対するモヤモヤした気持ちとか、こんなに嫉妬してしまう自分が情けなかったりとか、夏実さんの反応が怖かったりとか……色んな感情がごちゃ混ぜになる。
暗い気持ちを一生懸命堪えようとするあまり、握る手の力が強さを増した。
「僕、眞冬に負けたくない。……春花ちゃんの、一番になりたい……!」
僕の、絞り出すような声を聞いて、夏実さんは、静かに呟く。
「……分かるよ」
「え……?」
「一番になりたい気持ち、私にも分かる」
夏実さんはそう言うと、少し寂しそうに笑った。
「私も、北原さんが羨ましい」
その辛そうな笑顔に、僕は言葉を失った。
何も言えずに固まってしまう僕に対して、夏実さんは小さな声で語り始める。
「私、ずっと……眞冬を笑顔にしたかった」
「え……、眞冬を?」
「うん。私達、本当に小さい頃から一緒にいてさ。眞冬が抱えてるものも、私、全部分かってた。……私が、一番分かってるはずだった」
夏実さんはそこまで言うと、目を伏せる。
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