8.5 千秋と夏実

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 大丈夫。大丈夫だから。  笑って。夏実さん。  僕の即席の笑顔を見て……夏実さんは吹き出した。 「ふっ……志野くん、またおかしな笑顔、作ってる…………あはは!」  夏実さんは声を出して笑い出した。  その明るい笑顔につられて、僕も思わず笑い出してしまった。 「ふふっ!夏実さん、また笑ってる……!」 「だって、だって志野くんが……!あはは!」  僕と夏実さんは、涙を拭いながら一緒に大笑いした。  僕の一番は春花ちゃんだ。  でも、夏実さんも……僕の友達なんだ。  僕のことを助けてくれる、優しい優しい友達なんだ。  だから、やっぱり……笑ってて欲しい。  無理してる時の辛そうな顔より、楽しそうな笑顔の方が、夏実さんには似合ってると思う。  僕達は、ひとしきり笑って……お互い、涙を拭いながら微笑んだ。 「志野くん、ありがとう。相談に乗るつもりだったのに、逆に励まされちゃった」 「ううん……僕も、すごく元気出たよ」
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