9

4/6
前へ
/145ページ
次へ
 夏実さんに、ちゃんと挨拶できて良かった。でも……さっき、夏実さんが千秋くんと歩いて来た時、すごくモヤモヤしたんだよね。  あの気持ちは何だったんだろう……。  私が難しい顔で腕を組んでいると、千秋くんが私の顔を覗き込んで 「あのさ……一緒に、帰らない?」 って、頬を赤くしたまま尋ねてきた。 「あっ、うん!いいよ!」  私は慌てて頷いて、千秋くんに笑顔を作る。  夏実さんのことは、今考えても分からないし……せっかく千秋くんと会えたんだから、今は2人でお話しながら帰るのを楽しむ方が、ずっといいよね。 「あ、ありがと……じゃあ、行こ?」 「うん!」  私は元気よく頷いて、千秋くんと並んで歩き始める。  さっきまでモヤモヤしてたのが嘘みたいに、私の心は晴れやかになっていた。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加