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* * *
雨が降る通学路を、今度は1人じゃなくて千秋くんと一緒に歩く。
何から話そうかな?何を話したら、千秋くん楽しんでくれるかな?
私は重たいグレーの空を見上げながら、うーん、と考える。
話したいことは沢山あったし、夏実さんとのことも聞きたかったけど……どうせなら、千秋くんにも笑って欲しいなって思ったんだ。
私はしばらく考えて、やっぱり長靴のことから話そうかなって決めて口を開いた。
この長靴の赤は、千秋くんの赤だよって言いたかったから。
「千秋くん、見て見て!長靴、新しいのを買ってもらったんだ」
「あ……そんなんだ。綺麗な赤だね?」
「ふふっ、そうでしょ!あのね、なんで赤にしたか分かる?」
私がニコニコしながら尋ねると、千秋くんは顎に手を当てながら空を見上げて考え始めた。
ふふっ、当てられるかな?千秋くん、当てられるかな~?
「うーん……何だろう。好きな食べ物の色とか?春花ちゃん、苺、好きだったよね?」
千秋くんの答えを聞いて、私は思わずニヤリとしてしまう。
苺か~。苺も好きだけど、そうじゃないんだよなぁ。ふふっ……!
「残念!正解はねー、千秋くんの……」
私が正解を言おうとした、その瞬間。
バジャーーーーン!!
乗用車が、水飛沫を上げながら水溜まりを走ったせいで……。
「うわぁっ!?」
私と千秋くんの服が、ずぶ濡れになってしまったんだ。
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