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「は、春花ちゃん……大丈夫?」  千秋くんが、髪まで濡らしながら私を心配そうに見つめる。 「だ、大丈夫……へくち!」  千秋くんに大丈夫って言うのと同時に、私からくしゃみが出てしまった。  うう……このままだと、流石に風邪引いちゃうよね……。早く帰らなきゃ。  あ、でも……千秋くんの家って、ここから少し遠いよね。歩いてるうちに千秋くんが風邪引いたりしたら大変!  うーん……あ!私の家の方が近いし、千秋くんも私の家で温まってもらえばいいんだ! 「千秋くん!私の家に行こ!」 「え?」  私は傘を持ってない方の手で、戸惑う千秋くんの手を握った。  そしたら、やっぱり冷えてて冷たかったんだ。  急がないと風邪引いちゃう! 「ほらほら!こっちこっち!」  私は千秋くんの手を引っ張って、濡れた道路を走り始めた。 「え?えぇっ!?春花ちゃん!?」  千秋くん、まだビックリしてるけど……今は早く家に行かなきゃ。  説明は後!  私は千秋くんの手をグイグイ引っ張りながら、自分の家へと駆けていった。
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