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 タオルの白から覗く千秋くんの顔は、ちょっぴり赤くて優しかった。  その穏やかな顔と、優しく拭いてくれる感覚が心地よくて、暫く大人しくしていた私だったけれど、すぐにあることに気が付いたんだ。 「私のこと拭いてたら、千秋くん風邪ひいちゃうよ!」 「え?」  私は慌てて持っていたタオルを千秋くんの頭に掛け、ごしごしと拭き始めた。 「うわっ!」  びっくりして声を上げる千秋くんの頭の上で、私は一生懸命タオルを動かす。 「ちょ、ちょっと、春花ちゃん、痛い……」 「我慢して!早く拭かなきゃだから!」 「う……、でも、春花ちゃんが風邪引いても大変でしょ。ほら、大人しく拭かれて」  私の腕の外側から、千秋くんがもう一度手を伸ばして頭を優しく拭き始める。  そのせいで少し窮屈だったけど、私は千秋くんの頭を拭くのをやめなかった。  ごしごし、わしゃわしゃとお互いの頭を拭き合う私と千秋くん。  それを見て、おばあちゃんは楽しそうな笑い声を上げた。 「2人とも、仲いいんだね」 「ん?うん!私達、仲良しだよ!」  私は千秋くんを拭く手を止めて、おばあちゃんに明るく笑う。 「そうかい。千秋くん、いつも春花と仲良くしてくれてありがとうね」 「あ……は、はい」  少し小さな声で返事をしながら、千秋くんは赤い顔で俯いた。
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