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梅雨が終わり、太陽も元気になってきた頃、遂に夏休みがやってきた。
終業式を終えて、ランドセルを背負って帰ろうとする私に、隣の席の眞冬くんが声を掛けてくる。
「春花、8月4日、空いてるか?」
「4日?多分空いてるけど……どうかした?」
私が尋ねると、眞冬くんは頬を掻きながら私を見る。
「うちでバーベキューやるんだ。春花もさ、良かったら来ねぇ?」
「バーベキュー!」
楽しそうな単語を聞き、胸がワクワクドキドキし始めた。
私は目を輝かせながら、眞冬くんの席に身を乗り出す。
「行く行く!絶対行く!」
「よっしゃ。4日の夕方に兄ちゃんと迎えに行くから。お前ん家、あれだろ?あのでっかい家」
「うん!多分それ!」
「分かった。じゃあ、待ってろよ」
「うん、待ってる!」
私は満面の笑顔を浮かべながら、眞冬くんに元気に告げた。
「千秋くんと夏実さんも一緒だよね!みんなで一緒に行った方が楽しいし!」
2人の名前を出した途端、眞冬くんの笑顔が引きつった。
「ま、まぁ……そうだな。こうなるのは読めてたわ……」
「ん……?どうかした?」
「いや、何でもねぇよ……。俺の方から、2人も誘っておくわ。日直でまだ帰ってきてねぇし」
「うん、分かった!」
私はランドセルをしっかり背負って眞冬くんに手を振る。
「眞冬くん、またね!」
私は眞冬くんが手を振り返してくれるのに微笑みながら、パタパタと教室を出ていった。
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