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いよいよやって来た、8月4日の夕方。上着を着て、虫除けスプレーも付けて、準備万端な状態で、私は眞冬くんを待ってた。
もうすぐ5時になる頃、ピンポーンと音がして、インターホンから彼の声が聞こえたんだ。
「春花!迎えに来たぞ」
「はーい!」
私はパタパタと玄関に走っていき、ドアを元気よく開けた。
すると、そこにいたのは、眞冬くんと千秋くんと夏実さん、それから……唇にピアスをしている、金髪の背の高いお兄さん。
彼を見た時、昔テレビで見たヤクザの映画に出てきた、ガラの悪いお兄さんを思い出した。
たしか、あのヤクザのお兄さんは……釘が打ってあるバットを振り回して、沢山の人をボコボコにしてたような……。
…………このお兄さんも、ヤクザなのかな。
「おい春花、なに固まってんだよ」
「眞冬くん……ちょっと耳貸して」
「は?……ま、まあいいけど」
「あのね……」
私は眞冬くんの耳元に口を運び、尋ねた。
「後ろのお兄さん……ヤクザ?」
「はぁ?んな訳ねぇだろ!」
眞冬くんは不機嫌そうに顔を顰めながら、後ろのお兄さんを親指で示して溜息をつく。
「この人は輝樹にぃ。うちの施設の兄ちゃんで、悪い仕事してる人じゃねぇよ」
眞冬くんに紹介されたお兄さん……輝樹お兄さんは、カラッと笑って頭を搔く。
「あー、ガラが悪いから怖かったかな?オレは工藤輝樹。眞冬の兄貴みたいなもんだよ」
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