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* * *  いよいよやって来た、8月4日の夕方。上着を着て、虫除けスプレーも付けて、準備万端な状態で、私は眞冬くんを待ってた。  もうすぐ5時になる頃、ピンポーンと音がして、インターホンから彼の声が聞こえたんだ。 「春花!迎えに来たぞ」 「はーい!」  私はパタパタと玄関に走っていき、ドアを元気よく開けた。  すると、そこにいたのは、眞冬くんと千秋くんと夏実さん、それから……唇にピアスをしている、金髪の背の高いお兄さん。  彼を見た時、昔テレビで見たヤクザの映画に出てきた、ガラの悪いお兄さんを思い出した。  たしか、あのヤクザのお兄さんは……釘が打ってあるバットを振り回して、沢山の人をボコボコにしてたような……。  …………このお兄さんも、ヤクザなのかな。 「おい春花、なに固まってんだよ」 「眞冬くん……ちょっと耳貸して」 「は?……ま、まあいいけど」 「あのね……」  私は眞冬くんの耳元に口を運び、尋ねた。 「後ろのお兄さん……ヤクザ?」 「はぁ?んな訳ねぇだろ!」  眞冬くんは不機嫌そうに顔を顰めながら、後ろのお兄さんを親指で示して溜息をつく。 「この人は輝樹にぃ。うちの施設の兄ちゃんで、悪い仕事してる人じゃねぇよ」  眞冬くんに紹介されたお兄さん……輝樹お兄さんは、カラッと笑って頭を搔く。 「あー、ガラが悪いから怖かったかな?オレは工藤輝樹(くどうてるき)。眞冬の兄貴みたいなもんだよ」
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