7人が本棚に入れています
本棚に追加
* * *
輝樹お兄さんに連れられてやって来たのは、ひだまり園っていう赤い屋根の建物だった。
駐車場の隣にある、玄関前の土の庭はすごく広くて、小さな子供たちから大きな子供たちまで、色んな人がコンロの支度をしたり、サッカーボールで遊んだりしていた。
そのサッカーをしている中にいた、茶色いショートボブの小さな女の子が、私たちに気がつくなり駆け寄ってきたんだ。
「眞冬にぃー!」
女の子は眞冬くんに勢いよく抱きついて、満面の笑みを見せる。
「おかえり!」
「おう、ただいま」
眞冬くんが優しい顔で女の子の頭を撫でるのを、私や千秋くんは珍しそうに眺めた。
眞冬くん、お兄ちゃんだったんだ。しかも、あんなに優しい顔するんだ。へぇ……。
そんなことを考えていたら、眞冬くんにも伝わったみたいで、少し赤らめた顔で睨まれちゃったんだ。
「……なんだよ。俺が年下に優しくしてるのがそんなに変かよ?」
「う、ううん!そんなことないよ!優しい眞冬くん、いいお兄ちゃんだと思う!ね、千秋くん?」
「う、うん!ちょっと珍しいなって思っただけだよ」
「ふーん……ほんとかよ」
「ほ、ほんとほんと!」
ほんとに、優しくてかっこいいと思うよ!うん!
私が心の中でそう言ったら、眞冬くんは、更に顔を赤くして、私から目を逸らしちゃった。
「……ならいい」
そんな眞冬くんの顔を見上げた女の子は、不思議そうに首を傾げる。
「眞冬にぃ、なんで顔赤くなってるのー?」
最初のコメントを投稿しよう!