11.5 千秋の恋

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11.5 千秋の恋

 春花ちゃんから逃げるように離れて、僕は施設の子達の所に向かった。  施設の小さい子達が、僕に楽しそうに話しかけてくれる。それに答えながらも、僕は内心穏やかじゃなかった。  やっと言えた、春花ちゃんへの気持ち。でも、僕が誰よりも春花ちゃんが大好きなんだって……特別なんだって気持ちは、きっと春花ちゃんには届いてない。 『特別って、どういう意味?』  春花ちゃんは、そう不思議そうに聞いていた。少なくとも、僕にはそう見えた。  春花ちゃんの中には、まだ僕と同じ気持ちが無いんだろうなって、思った。  だから、言えなかったんだ。  君が好きだっていえなかった。
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