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僕は遠くの方にいる春花ちゃんの方を見る。すると、春花ちゃんはお父さんと何か話してた。
目が合わなくて安心したと同時に、僕の方を見て欲しいって気持ちも芽生えたんだ。
この「好き」の先が、どうなるのかは分からない。大人の人の、「お付き合い」っていうのなんて、今の僕には分からない。
でも……僕の気持ちに、気づいて欲しい。できることなら、僕と同じ気持ちになって欲しい。僕を1番にして欲しい。ただ、そう思ってる。
でも、そんなの全部、僕のワガママだ。
春花ちゃんに、この気持ちを伝えたら……きっと困らせてしまう。そう思って、僕は目を伏せる。
「ねーねー、千秋兄ちゃん、どうしたの?」
「俺達とあそぼーよー!」
施設の子達が、僕にくっついて遊びをせがむ。
小さい子達に悲しい思いをさせたくなくて、僕は笑顔を作って頷いた。
「うん、いいよ。向こうで遊ぼっか」
僕がそう言うと、小さい子達が喜びながら僕をコンロから離れた庭の隅に連れて行く。
日が暮れるまで、小さい子達の相手をしながら……僕は、春花ちゃんのことを考え続けた。
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