12

1/4
前へ
/151ページ
次へ

12

 日が暮れて、バーベキューも一段落。大人の人達がコンロを片付ける横で、私達もお皿や紙コップを片付けた。  その間、千秋くんとは1回も目が合わなかったし、私から声を掛けることもしなかった。  片付けが終わると、眞冬くんが花火が入った袋を持ってきて、私の肩をポンポン叩いてきた。 「春花!花火やるぞ!」 「あ……うん」 「ん?何だよ、元気ねぇな。食い過ぎたか?」 「う、ううん!そんなことないよ!大丈夫!」  私が笑顔を作って首を横に振るのを見て、眞冬くんは少し寂しそうに笑う。 「お前さ、俺のアビリティ忘れてるだろ」 「あ……!ご、ごめん。眞冬くんにはお見通しだよね……」 「別にいいけどさ。お前らしくて、俺はそんなに嫌じゃないよ」  眞冬くんはそう言うと、花火の袋から手持ち花火を1本出して、私に持たせてくれる。 「ほら、一緒にやろうぜ、花火」 「う、うん……」  私は眞冬くんに頷いて、彼と一緒に輝樹お兄さんの所に歩いて行った。
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加