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12
日が暮れて、バーベキューも一段落。大人の人達がコンロを片付ける横で、私達もお皿や紙コップを片付けた。
その間、千秋くんとは1回も目が合わなかったし、私から声を掛けることもしなかった。
片付けが終わると、眞冬くんが花火が入った袋を持ってきて、私の肩をポンポン叩いてきた。
「春花!花火やるぞ!」
「あ……うん」
「ん?何だよ、元気ねぇな。食い過ぎたか?」
「う、ううん!そんなことないよ!大丈夫!」
私が笑顔を作って首を横に振るのを見て、眞冬くんは少し寂しそうに笑う。
「お前さ、俺のアビリティ忘れてるだろ」
「あ……!ご、ごめん。眞冬くんにはお見通しだよね……」
「別にいいけどさ。お前らしくて、俺はそんなに嫌じゃないよ」
眞冬くんはそう言うと、花火の袋から手持ち花火を1本出して、私に持たせてくれる。
「ほら、一緒にやろうぜ、花火」
「う、うん……」
私は眞冬くんに頷いて、彼と一緒に輝樹お兄さんの所に歩いて行った。
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