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輝樹お兄さんに火を付けて貰って、私は眞冬くんと一緒に、みんなから少し離れた場所で手持ち花火を眺める。
パチパチと火花を散らしながら光るオレンジ色の花火は、鮮やかで本当に綺麗。
「……千秋のことだろ」
「え……?」
「お前が悩んでるの、千秋とのことで何かあったんだろ」
眞冬くんはそう言うと、私に優しく笑いかける。
「話して楽になんなら、話してみろよ。俺が聞いてやるから」
「あ……うん」
私は花火を見つめながら眞冬くんに話し出した。
「千秋くんがね、私に特別だって言ってくれたの。でも……私、なんて答えてればいいか分からなくて」
「……そっか」
眞冬くんは静かに頷いた後、花火を見ながら寂しそうに笑った。
「すっげぇ好きなんだな。千秋のこと」
「……え?」
「分かってねぇのか?俺は、あいつが転校して来た時から分かってたよ。お前の気持ち」
眞冬くんはそう言うと、私の方を見て優しく笑う。
「俺はアビリティで『読める』けど、千秋は違う。だから、お前が言ってやらねぇと伝わんないんだ」
「何を……?」
「お前の気持ちだよ。お前が、千秋のこと好きだって気持ち」
……私は、千秋くんが好き?
確かに、千秋くんのことは大好きだよ。でも、千秋くんの「特別」と私の「好き」は一緒なの……?
こんな状態で、私の気持ちを伝えても平気なの?
私が頭の中でぐるぐる悩んでいると、眞冬くんは花火に目を移して呟く。
「春花ってさ、意外と真面目だよな」
「え?」
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