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 その優しい微笑みが、その大好きな微笑みが、私の胸を優しく包んでくれた。  暖かいな。千秋くんの笑顔は、やっぱり暖かい。すっごく、すっごく綺麗で、優しい笑顔。  私は、この笑顔を守りたいんだ。あの日、千秋くんと出会ってから、ずっと。  そのために……私は、あなたの『桜』になりたいの。  でも、この気持ちを伝えるのは、千秋くんのことを守れるようになってからの方が、きっと良い。 「……うん!」  私は千秋くんに明るく笑って、彼の笑顔を見つめ返した。  千秋くんの持ってる花火の、優しい灯りに照らされながら。
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