12.5 夏実と眞冬

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 私の答えを聞いた歩咲ちゃんは、目をまん丸にしながら、2人が話している方を見た。  すると、お互いの気持ちがちゃんと伝えられたのか、2人とも楽しそうにお喋りしてたんだ。 「好きな人と仲良くなると、楽しいの?」  歩咲ちゃんが私に尋ねる。  誰かを好きになるってどんな気持ちなのか、私も大人の人ほど分からない。好きだと、何か変わるのか。好きって伝え合えば、どうなるのか……私には、まだよく分からない。  でも……。 「うん。すっごく……すっごく、楽しいよ」  私は、笑顔でそう断言した。  それを見て、歩咲ちゃんは楽しそうに笑いながら私に尋ねる。 「夏実お姉ちゃんにも、好きな人がいるの?」 「えっ?」 「好きな人がいるから、それが分かるんだよね?」  改めてそう言われると、やっぱり少し恥ずかしい。でも、歩咲ちゃんが言うように、私にも大事な……大好きだなって思える幼なじみがいる。  私は少しはにかみながら、歩咲ちゃんに答えた。 「眞冬お兄ちゃんだよ」 「え!眞冬にぃ?眞冬にぃが好きなの?」  自分のお兄ちゃんの名前が出てきてビックリしたのか、歩咲ちゃんは驚いた顔で私を見る。 「夏実お姉ちゃんは、眞冬にぃが好きなんだ!」 「……うん」  私は、少し照れながら、歩咲ちゃんに笑顔で答えた。 「私、眞冬が大好きなんだ」
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