12.5 夏実と眞冬

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 私の答えを聞いて、歩咲ちゃんは顔をほころばせる。 「そうなんだ!あのね、歩咲も眞冬にぃが大好きなの!」 「ふふっ、そうだよね」 「分かるの?」 「うん、だって歩咲ちゃん、眞冬と一緒にいるとき、すごく楽しそうなんだもの」  私がそう言うと、歩咲ちゃんは嬉しそうに笑いながら、 「ありがとう!あのね、歩咲も分かること教えてあげる!」  と言って、私の耳元に顔を近づけて 「あのね、眞冬にぃね、きっと夏実お姉ちゃんのことも大好きだよ」  と小さな声で告げた。 「そうなの?」  私が尋ねると、歩咲ちゃんは私から顔を離して元気に頷いた。 「うん!歩咲ね、最近、眞冬にぃから学校のお話よく聞くの。それでね、眞冬にぃ、夏実お姉ちゃんの話をするとき、すごく優しい顔になるの!」 「……そうなんだ」 「うん!眞冬にぃね、夏実お姉ちゃんにお礼が言いたいってよく言ってるよ!」  歩咲ちゃんはそう言うと、私の手を引っ張った。 「歩咲ちゃん!?」 「だからね、夏実お姉ちゃんも、眞冬にぃとお話してあげて!」  歩咲ちゃんは元気に私の手を引きながら、遠くから、しゃがみながらみんなを眺めてる眞冬のところへ歩いて行った。 「眞冬にぃー!」  眞冬と傍に着くと、歩咲ちゃんは眞冬に元気よく声を掛けながら、私を眞冬の前に押し出す。 「眞冬にぃ、夏実お姉ちゃん連れてきた!」  歩咲ちゃんにそう声を掛けられて、眞冬は驚いた顔で私を見た。
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