12.5 夏実と眞冬

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 その笑顔が、私に向けられてるのが、なんだかすごく嬉しくて……私でも、眞冬を笑顔にできるんだって思って、私は頬を緩めた。 「眞冬」  私は名前を呼んで、眞冬に、自分の思いを伝えた。 「私もね、志野くんと同じなんだ。眞冬の……誰よりも近くにいたいの。近くにいて、眞冬の笑顔を支えたいの」  私は、遠くで笑い合う北原さんと志野くんを見ながら、微笑んで続ける。 「あんたの笑顔を取り戻したのは北原さんだった。あんたを笑顔にできるのも、きっと北原さんなんだと思う。あんたは……北原さんが好きなんだよね?」  私に尋ねられ、眞冬は恥ずかしそうな声を出す。 「うっ……ま、まぁ、な」  それにクスリと笑いながら、私は言葉を続けた。 「でも、眞冬は気配りができちゃうから、志野くんと北原さんのために、2人の背中を押したんだよね」 「……なんで、分かんだよ」 「何年一緒にいると思ってるのよ。言葉にしなくても、なんとなく分かるよ」  私は少し微笑んで、眞冬に告げる。
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