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「死んじゃったんだ。ウサギも、死んじゃった……。僕の炎で、小屋ごと……。学校中に責められて、辛かった。でも、ウサギは、もっと苦しかったはずなんだ……。だって、あんなに熱い炎の中で……」  千秋くんの告白を聞いて、なんて言えばいいか分からなかった。私、何も言えずに、動けなくなっちゃったんだ。あんまりにも、悲しい話だったから。  うまい言葉の代わりに、私から出たのは……涙だった。 「っ……う、うう……」 「春花ちゃん……な、泣いてるの?」 「うう……ぐす、うん。だって……千秋くんも、ウサギも、悪くないのに……!」 「っ……で、でも、僕のせいで、ウサギが」 「守ろうとしたんでしょ。さっき私を助けてくれたみたいに、守ろうとしてあげたんだよね?千秋くんは間違ってない。間違ってない、もん……!なのに、なんで、そんなことになっちゃったの?私、嫌だよ。そんなの嫌!」 「春花ちゃん……」  千秋くんの頬に、涙が伝う。真紅の瞳から、はらはらと降り注ぐ雨。それを止めてあげられたらよかった。でも、まだ子供だった私にはできなかったんだ。  一緒に泣くことしかできなかった。  夕方5時のチャイムが鳴って、メイドさんが呼びに来るまで、私たちは泣き続けていた。  
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