7人が本棚に入れています
本棚に追加
/141ページ
* * *
広いダイニングテーブルに備え付けられた、白くて綺麗な椅子に家族中が座る中、メイドさんが作ってくれたロールキャベツを、私と千秋くんは黙々と食べる。
「2人とも、何かあった?」
目を泣き腫らした私達を見て、叔母さんは心配そうに尋ねてきた。
私は答えようと口を開けた……けど、先ほどの千秋くんの話を思い出して、また喉がつっかえてしまって、上手く声が出せない。悲しくて、苦しくて……涙が、瞳に溜まっていく。
なんで、千秋くんの優しさは実を結ばなかったんだろう。なんで、学校の人達は、千秋くんの優しさに気づいてくれなかったんだろう。
なんで、優しい千秋くんが1人で泣いて逃げないといけなかったんだろう。
悔しいな。すごく、悔しいよ……。
「母さん、僕、言ったんだ」
私が何も言えないでいると、千秋くんが静かに答えてくれた。
「前の学校でのこと……言っちゃったんだ」
千秋くんの言葉に、叔母さんは目を丸くした。
最初のコメントを投稿しよう!