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「千秋……ほんとに?」 「うん。……言った」 「そう、なの……。春花ちゃん、ごめんね。辛い気持ちになっちゃったかな」  叔母さんは困り眉で笑顔を作りながら、私に優しく尋ねてくる。  違うよ。辛いのは私じゃなくて、千秋くんの方だよ。  私は、勝手に泣いちゃっただけなの。  励ませなくて、泣くことしかできなかった、だけなの……。  そう答えようとするけど、涙に負けて上手く話せない。泣いてばかりじゃだめ……ちゃんと、叔母さんに言わなきゃ。  千秋くんは悪くないって。  私は必死に涙を拭って、しゃっくりしながら叔母さんを見た。 「叔母、さん。あのね、千秋くんはね、悪くないの。私……励ませなかったの。笑顔で、大丈夫って言えなかったの。すごく、悲しかった、から……」  涙に負けないように、必死に声を振り絞りながら、私は自分の気持ちを伝える。 「でもね、私、嫌じゃなかったよ。千秋くんがお話してくれて、悲しかったけど嫌じゃなかった……。だからね、謝らないで。千秋くんは悪くないの!泣いちゃって……ごめんなさい」  悲しくて辛い、千秋くんの過去。涙が出るほど苦しい過去を教えてくれた千秋くんの言葉も、気持ちも、全部いけないことだって片づけたくなかった。  すると、私の言葉を聞いた叔母さんは……静かに首を横に振ったんだ。
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