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食事を終えて、お風呂も入った私は、リビングでおばあちゃんとホットミルクを飲んでいた。おばあちゃんが作ってくれる、蜂蜜入りのホットミルクは、小さい頃から私の大好物。
こくこくとミルクを飲みながら、傍で本を読んでいるおばあちゃんを、なんとなく見つめる。青いブックカバーがかけられた本を、眼鏡を掛けながら読むおばあちゃん。その表情は、とっても静かで穏やかだった。
「おばあちゃん、何読んでるの?」
「ああ、外国の恋のお話だよ。戦争で離れ離れになってしまった、恋人同士のお話さ」
「え……、おばあちゃん、なんでそんなに悲しいお話読んでるの?辛くないの?」
私だったら、好きな人と離れ離れになっちゃうお話なんて、悲しいから読まないのにな。せっかく読むなら、楽しくて幸せなお話がいい。わざわざ泣きたくなるようなお話読むなんて、おばあちゃん変なの。
私が首を傾げていると、おばあちゃんは可笑しそうに笑って、本を閉じた。
「春花。この本の話はね、最後の最後に好きな人と再会できるんだよ。別々のところで亡くなってしまった2人がね、神様に導かれて再会するの。だからね、悲しくないんだよ」
「そうなんだ。……でも、生きてるときに寂しい思いをするなんて、悲しいよ」
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