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「あら、ふふ。確かにね。でも春花、こう考えてごらん。生きてるときに悲しかったから、再会した時に、すっごく幸せになれたってね」 「悲しかったから、幸せに……?」 「そう。悲しい気持ちがあるから、幸せな気持ちが引き立つんだよ。雨が降るから虹が出る。桜が散るから来年も桜が咲く。涙があるから、笑顔でいることが幸せだって気づけるんだよ。分かるかい?」 「うーん……」  私は腕を組みながら、おばあちゃんの言葉を頭で再生する。悲しい気持ちがあるから、幸せな気持ちが引き立つ……か。  もし、この世界に「悲しい気持ち」が無かったら、私達は、ずっと笑顔でいられる。でも、それが普通だから、笑顔でいられることが幸せだって分からないかも……。 「えっと、悲しい気持ちは幸せになるために必要だから、いけないものじゃないってこと?」 「そういうことだよ。だからね、悲しい時は泣いてもいいんだ。雨が降るから、花が咲くんだからね。お日様の光だけじゃあ、花は枯れちゃうからね。分かったかい?」 「分かった!」 「ふふ、そうかい。いっぱい泣いて、いっぱい笑って、大きくおなり」  おばあちゃんは優しく微笑みながら、頭を撫でてくれた。  しわしわだけど、温かい手。この手の感触が、昔から大好きなんだ。
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