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部屋の電気を消して、私と千秋くんは2人揃って布団に入った。思った通り、私の部屋のベッドは、子どもが2人寝ても狭くない。寝返りも打てそう。
初めは仰向けに寝ていた私だったけど、ごろんと横向きになって千秋くんの方を見た。それに気づいた千秋くんが、仰向けのまま目線だけこちらに向ける。
「どうかしたの……?」
「ううん。寝返り、打てるかなって思って。あ、千秋くんもこっち向いてみなよ!ごろんってできるよ」
「え……あ、うん」
千秋くんは、戸惑いながらも私の方に体を向けてくれた。
お互いの顔が近くなる。千秋くんの優し気な眼差しが、暗い部屋の中でもはっきり見えた。それを見て、私はふと、昼間の『桜吹雪』の中でのことを思い出したんだ。
あの時、千秋くんの瞳から流れた涙も、千秋くんの真紅の瞳も、宝石みたいに綺麗だって思った。
それだけじゃない。千秋くんの『炎』も、見とれちゃうほど綺麗だったんだ。
「千秋くんって、綺麗だよね」
気づいたら、そう口に出てた。
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