2

18/18

7人が本棚に入れています
本棚に追加
/141ページ
 千秋くんの『炎』が綺麗な理由が分かって、スッキリした私は明るく微笑む。  でも反対に、千秋くんは喋らなくなっちゃったんだ。 「千秋くん、どうかした?」 「っ……、う、ううん!何でもない……。ほら、早く寝よう?おやすみ!」  千秋くんはそれだけ言うと、ごろんと向こうを向いてしまった。 「千秋くん!?何でそっち向いちゃうの?」  私が尋ねても、千秋くんは毛布に顔を埋めるだけで返事をしてくれない。 「ねー、千秋くん!ねえねえ……」  めげずに何度か声をかけたけど……その後も、千秋くんは何も言ってくれなかった。  だんだん眠くなってきた私は、諦めて寝ようと思い、目を閉じる。  そしたら、聞こえたんだ。 「……ありがと」  千秋くんの、小さな声。 「……ふふっ。うん。私もありがとう。……千秋くん」 「何……?」 「これから、よろしくね」 「……うん」  少し時間を空けて聞こえてきた、くぐもった返事。それを聞いた私は、まどろむ意識の中で、静かに微笑んだ。
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加