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千秋くんの『炎』が綺麗な理由が分かって、スッキリした私は明るく微笑む。
でも反対に、千秋くんは喋らなくなっちゃったんだ。
「千秋くん、どうかした?」
「っ……、う、ううん!何でもない……。ほら、早く寝よう?おやすみ!」
千秋くんはそれだけ言うと、ごろんと向こうを向いてしまった。
「千秋くん!?何でそっち向いちゃうの?」
私が尋ねても、千秋くんは毛布に顔を埋めるだけで返事をしてくれない。
「ねー、千秋くん!ねえねえ……」
めげずに何度か声をかけたけど……その後も、千秋くんは何も言ってくれなかった。
だんだん眠くなってきた私は、諦めて寝ようと思い、目を閉じる。
そしたら、聞こえたんだ。
「……ありがと」
千秋くんの、小さな声。
「……ふふっ。うん。私もありがとう。……千秋くん」
「何……?」
「これから、よろしくね」
「……うん」
少し時間を空けて聞こえてきた、くぐもった返事。それを聞いた私は、まどろむ意識の中で、静かに微笑んだ。
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