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千秋くんと出会ってから一週間が経った。今日は始業式。久しぶりにクラスのみんなと会えるのが楽しみで、私は胸を躍らせながら教室に向かった。
パタパタと廊下を歩いて、新しい教室の前で立ち止まる。教室の札を見上げると、そこには「2-1」って書いてあった。
今日から私も2年生かあ。新しく1年生も入ってくるし、今年からは私もお姉ちゃん。ふふっ、ワクワクしちゃう!
私は胸を高鳴らせながら、ドアを開けて教室に入った。
「あ、春花ちゃん!おはよー」
「北原さん、おはよう」
「みんな、おはよう!」
クラスのみんなに挨拶して、私は自分の席に座る。
みんな元気そうだな。今年も、みんなと沢山、楽しい思い出が作れるといいなあ。
そう思ってにやにやしてたら、思いもよらない声が飛んで来たんだ。
「ばかじゃねえの?」
その声の主は、隣の席の男の子。神崎眞冬くんだった。
「え?ば、ばか?私が?」
「そーだよ。何が楽しい思い出だよ。できる訳ないだろ」
眞冬くんは、人を馬鹿にしたような、歪んだ笑顔をこちらに向ける。
眞冬くんとは、1年生の春も隣の席だった。でも、あんまりお話してくれないし、たまに話したかと思ったら馬鹿にしてくるから、少し苦手なんだ。
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