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目を固く瞑りながら、腕組みをして考えていたら、隣の席からバシン!っていう音が聞こえてきたんだ。ビックリして隣を見たら……。
「痛ってえ……何すんだよ、夏実」
眞冬くんの頭に道徳の教科書を叩きつけてる、栗色のポニーテールの女の子がいた。
「眞冬、また北原さんと喧嘩してたでしょ。謝りなさい」
彼女は、瀬野夏実さん。しっかり者で、去年もクラスのみんなを引っ張ってた。うちのクラスの真ん中にいる女の子。
「謝るって……別に俺は悪くないし。ほんとのこと、言ってるだけだし」
「眞冬はひねくれ過ぎなの。そうやってると、本当に独りになっちゃうよ?」
「っ……、別に。信頼してた相手に裏切られるより、独りの方がずっとマシだわ」
反省する様子のない眞冬くんに、夏実さんは溜息をつく。
夏実さん、私と喧嘩してた眞冬くんに怒ってるみたい。でも、眞冬くんばっかりが悪い訳じゃないよね。私も、さっきは喧嘩しちゃったし……。
うん、謝らなきゃ。
「眞冬くん、さっきはごめんね。夏実さんも、心配かけてごめんなさい。私なら大丈夫だから!」
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