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私がそう言うと、眞冬くんは少し驚いた顔でこちらを見た。
さっきまで顔を逸らされてたから、目と目が合ったのが余計に嬉しくて、私の頬が緩む。
もしかしたら、仲直りできるかな!?
「北原……」
「なになに!?」
私が隣の席に身を乗り出すと……眞冬くんは、目を丸くしたままこう言ったんだ。
「北原って……変人だな?」
「…………え?」
「なんで、お前が謝るんだよ。しかも今。完全に俺が謝る流れだったじゃん?」
「で、でも、私も喧嘩しちゃったし!夏実さんにも心配かけちゃったし……眞冬くん、謝らないし」
「ふーん……。ま、謝るつもりはないけどさ」
眞冬くんがそう言うと、夏実さんは再び教科書を振り上げる。
大変!また夏実さんが眞冬くんを叩いちゃう!
「な、夏実さん!叩いちゃダメ!叩かれたら痛いんだよ!痛いこと、他人にしちゃダメ!」
「う……、そうだね」
私が慌てて止めると、夏実さんは教科書を下ろして、溜息をついた。
すると、丁度チャイムが鳴って、席を立っていた人達が自分の席に戻り始める。
「眞冬、もう喧嘩しないんだよ。それから……北原さんに謝りなさいよ」
夏実さんも、そう言い残して自分の席に戻っていく。
その背中を追いながら、眞冬くんは、ぼそりと呟いたんだ。
「謝って、なんになるんだよ。過ぎちまったことは変えられないんだぞ?」
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