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「そうなんですね。ふふっ、良かったです」  先生は、私と千秋くんを交互に見て、嬉しそうに微笑む。 「じゃあ、志野くんは北原さんの後ろの席に座ってください。瀬野さん……あのポニーテールの女の子の隣の席です。瀬野さん、北原さん、それから、神崎くんも、志野くんに色々と教えてあげてくださいね。他の皆さんも、志野くんと仲良くしてあげてください。それでは、朝の会を終わります」  先生の言葉にクラス中が元気に返事をする中、千秋くんが私の後ろの席に座る。  私はすぐに後ろを振り返って、千秋くんに明るく声を掛けた。 「一緒のクラスだね!千秋くん、よろしくね!」 「う、うん。……よろしく」  千秋くんは、はにかみながら頷いてくれた。それを見た瀬野さんも、隣から会話に加わってくる。 「志野くん、何か困ったことがあったら、遠慮せずに聞いてね」 「あ、ありがとう。えっと……」 「夏実。私、瀬野夏実っていうの。よろしくね」 「う、うん。夏実、さん。よろしく」  少し緊張しながらも、挨拶を返す千秋くんを見て、夏実さんも微笑む。  今年は千秋くんも一緒に学校に通えるんだ。それが嬉しくて、思わず頬が緩んでしまう。  あ、いけない!だらしないお顔、しないようにしなきゃ。  私はほっぺたを手で押さえて、一生懸命表情を引き締める。今日から2年生だもん。しっかりしないと!
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