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* * *  放課後、私は千秋くんと一緒に帰り道を歩いていた。今日は始業式で授業が無かったから、まだ太陽が傾いていない。  私がこんなに悩んでいるのに、清々しいほどの青空。 「はぁ……」  私が思わずため息をつくと、隣を歩いていた千秋くんが、心配そうにこちらを覗き込んできた。 「春花ちゃん、どうかした?」 「あ……えっとね、隣の席の男の子のこと、考えてたんだ。どうしたら、仲良くできるかなって」 「ああ……、喧嘩、してたもんね」 「うん。……眞冬くん、私のこと嫌いなのかな」  今朝の眞冬くんの反応を思い出して、私は、つい俯いてしまう。  眞冬くんは、私のことが嫌い。だから、意地悪するし喧嘩もする……。  一度そう思ったら、不安な気持ちが胸いっぱいに広がって、苦しくてたまらなくなってしまった。  私は思わず、胸のあたりの服をギュッと掴む。  そんな私の手を、千秋くんはそっと掴み取って、繋いでくれた。 「春花ちゃん、大丈夫だよ」
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