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「……なんだよ、転校生」
「そ、そんな言い方、しなくていいと、思う。だって、春花ちゃんは、ただ君と友達になりたくて……」
たどたどしくなりながらも、必死に私を庇おうとしてくれる千秋くん。でも、眞冬くんは、千秋くんの腕を乱暴に払って、強い言葉を叩きつけてくる。
「友達なんていらねえよ!!こいつとも、お前とも……俺は仲良くする気なんてない!鬱陶しいんだよ!どいつもこいつも、表では善人ぶりやがって、裏では、俺のこと……」
眞冬くんはそこまで言って、口を噤んだ。藤色の瞳は大きく揺れていて、今にも涙が零れ落ちそう。
そして、眞冬くんの怒鳴り声に、教室中が静まり返った。みんな、眞冬くんに対して戸惑いの表情を浮かべている。
「っ……」
いたたまれなくなったのか、眞冬くんはクラスのみんなに背を向けて、教室を飛び出してしまった。
「あ……!眞冬くん、待って!」
私は、慌てて彼を追いかけようとする。でも……。
「北原さん、やめときなよ」
クラスの女の子が、迷惑そうに顔を顰めてそう言ったんだ。
「神崎くん、『人の心が読める』んだよ。きっと、私達の心の中を『読んで』馬鹿にしてるんだよ」
「え……?」
『人の心が読める』?それが、眞冬くんのアビリティ?
眞冬くんは、その力で、みんなの心を読んでたの?
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