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振り返ると、そこには夏実さんがいたんだ。
「夏実さん、どうしてここに……」
「志野くんが教えてくれたの。北原さんが眞冬を探してるって。だから、私も協力出来たらって思って、探してたんだ」
「そうだったんだ……。ありがとう、夏実さん」
「ううん。お礼なら志野くんに言って。ほら、そこにいるから」
夏実さんは、そう言って図工室の扉を指さす。すると、扉が僅かに開いて、千秋くんが心配そうな顔を覗かせた。
「千秋くん!」
私はパタパタと彼に駆け寄って、笑顔を見せた。
「ありがと、千秋くん。私1人じゃ、眞冬くんを見つけられなくて、困ってたの。助かっちゃった!」
「う、ううん。……夏実さんなら、眞冬くんがどこにいるか分かるかもって思って……」
千秋くんは、控えめにそう言いながら、夏実さんに視線を向ける。
たしかに、夏実さんは眞冬くんとよくお話してるし、もしかしたら眞冬くんがどこにいるか知ってるかも!
私も期待を込めた眼差しを夏実さんに向ける。
そしたら、夏実さんはしっかり頷いてくれた。
「絶対居るかは分からないけど……多分、あそこにいると思う。一緒に行こう」
「うん!」
良かった。眞冬くんに会えるんだ。ちゃんと謝って、仲直りできるんだ!
私は元気に頷いて、夏実さんと一緒に図工室を後にした。
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