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夏実さんを頼りに、私と千秋くんは急ぎ足で廊下を歩く。特別教室棟から出て、私達は1階の正面玄関までやって来た。
全校生徒600人分の下駄箱の中から、夏実さんはある下駄箱を開ける。
その下駄箱には、「神崎眞冬」って名前のシールが貼られてた。
「やっぱりね……」
夏実さんは下駄箱を閉じて、私達に振り返る。
「眞冬、やっぱり外にいるみたい。朝の会が始まっちゃう前に、急ごう」
「う、うん!」
私は夏実さんに頷いて、慌てて自分のピンク色のスニーカーを履いた。
「こっち!」
駆け足で玄関から出ていく夏実さんのことを、私と千秋くんで追いかける。正門を出て、真っ直ぐ。家々が立ち並ぶ道を、私達は走った。
眞冬くん、いったいどこにいるんだろう。朝の会が始まる前なのに、学校から出てるなんて……。
やっぱり、学校は眞冬くんにとって苦しい場所なのかな……。
もしそうなら、やっぱりなんとかしてあげたい。眞冬くんに、学校は楽しいこともあるんだよって教えてあげたい。
「ねえ、北原さん」
不意に、夏実さんが立ち止った。夏実さんは私を振り返って、真剣な顔で尋ねてきたんだ。
「北原さんは、なんで眞冬を探そうって思ってくれたの?」
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