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* * *  夏実さんを頼りに、私と千秋くんは急ぎ足で廊下を歩く。特別教室棟から出て、私達は1階の正面玄関までやって来た。  全校生徒600人分の下駄箱の中から、夏実さんはある下駄箱を開ける。  その下駄箱には、「神崎眞冬」って名前のシールが貼られてた。 「やっぱりね……」  夏実さんは下駄箱を閉じて、私達に振り返る。 「眞冬、やっぱり外にいるみたい。朝の会が始まっちゃう前に、急ごう」 「う、うん!」  私は夏実さんに頷いて、慌てて自分のピンク色のスニーカーを履いた。 「こっち!」  駆け足で玄関から出ていく夏実さんのことを、私と千秋くんで追いかける。正門を出て、真っ直ぐ。家々が立ち並ぶ道を、私達は走った。  眞冬くん、いったいどこにいるんだろう。朝の会が始まる前なのに、学校から出てるなんて……。  やっぱり、学校は眞冬くんにとって苦しい場所なのかな……。  もしそうなら、やっぱりなんとかしてあげたい。眞冬くんに、学校は楽しいこともあるんだよって教えてあげたい。 「ねえ、北原さん」  不意に、夏実さんが立ち止った。夏実さんは私を振り返って、真剣な顔で尋ねてきたんだ。 「北原さんは、なんで眞冬を探そうって思ってくれたの?」
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