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「私、帰らない!」
私は、眞冬くんを真っ直ぐ見据えて、一生懸命に言葉を紡いだ。
「眞冬くんが、独りで苦しんでるの、私は嫌なの!だから……眞冬くんがどんなに嫌がっても、私は眞冬くんと友達になりたい!!」
「っ……」
眞冬くんの、私を見る目が僅かに揺らぐ。
「眞冬くん、人の心が『読める』んだよね?なら、私の心も『読んで』いいよ。嘘なんて、ついてないから……納得できるまで、『読んで』」
私はそう言いながら、一歩ずつ眞冬くんに近づく。
拒絶されてもよかった。叩かれても、怒鳴られてもよかった。
私の気持ちが届けば、なんでもよかったんだ。
近づいていく私に対して、眞冬くんは一歩も逃げなかった。
ただ、私の瞳を見つめたまま……、その場に、座り込んでたんだ。
やがて、眞冬くんに、私の手が届く距離になる。
「眞冬くん」
私は眞冬くんの目の前にしゃがみこんで、迷わずに彼の手を両手で包んだ。
「独りじゃないよ」
眞冬くんは、私の手を振り払うこともせず……力なく、俯いた。
「ばかじゃねえの……」
眞冬くんの瞳から、涙がぼろぼろと落ちていった。
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