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「ばかじゃないよ。私、本気だよ!」  私は、眞冬くんの手を握る力を強くする。  もう、何があっても、眞冬くんを独りにしないように。  でも、眞冬くんは……俯いたまま、私と目を合わせてくれずに、泣くばかりだった。 「ばかだよ……。おかしいっての。こんな、家族に棄てられて、クラス中に嫌われてる、気味悪い奴と友達になるなんて……、北原、どうかしてるよ」  眞冬くんは、声を震わせながら首を横に振る。 「俺、おかしいんだ。『人の心が読める』アビリティが制御できなくて、父さんが他の女性(ひと)のことが好きなことも、それがバレて棄てられた母さんが、父さんの本音を暴いた俺を恨んでることも、クラスの奴らが俺を気味悪がってることも、全部、全部……聞こえちまってたんだ」  眞冬くんは、そう言うと涙で濡れた顔で必死に笑顔を作りながら、顔を上げた。 「北原も、嫌だろ?こんな俺なんて……自分の心が筒抜けになるような相手となんて、一緒にいたくないよな……?」  眞冬くんは、ぐちゃぐちゃな笑顔で、私を見つめる。  私には、眞冬くんの気持ちを『読む』力なんてない。  でも、その笑顔の裏に、すっごく悲しい気持ちを抱えてるのは、すぐ分かった。  ねえ、眞冬くん。相手の心が『読め』なくても、友達になれるんだよ。  私は、何も言わずに、優しく微笑んだ。
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