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私の微笑みを見た眞冬くんは……ただ呆然と、大粒の涙を流すだけだった。
「ばか、だろ……。北原、ほんとばか……」
「ばかじゃないもん。友達になるのって、すっごく嬉しいことなんだよ。独りじゃないって、すっごく温かいことなの」
私は微笑みながら、少し前に叔母さんが贈ってくれた言葉を、眞冬くんに伝える。
「ねえ、これから、きっと沢山、楽しい思い出ができるよ。だって、眞冬くんは独りじゃないもん。私や、夏実さんや、千秋くんがいるよ。だから……一緒に見つけよう。キラキラした思い出、沢山見つけようよ!」
私がそう言って明るく笑っていると、千秋くんと夏実さんも、私達の傍に歩み寄ってきてくれた。
「眞冬くん、僕とも……友達に、なれないかな?」
千秋くんは、控えめに尋ねる。
「眞冬、改めて、私とも友達になろ」
夏実さんも、そう言って優しく微笑んだ。
「っ……、うん」
眞冬くんは、みんなの顔を見て……まだ涙でびしょびしょの顔で、小さく頷いてくれた。
その様子を見た私は、嬉しくて、満面の笑みを浮かべる。
私、眞冬くんと友達になれたんだ。今日から、眞冬くんと一緒に、笑ったり遊んだりできるかな?
楽しみだな。すごく、楽しみ!
このワクワクした気持ち、眞冬くんにも伝わってるといいな。
淡い色の大木が、風に吹かれて枝を揺らす。薄紅色の花びらが、はらはらと、私達のもとに降り注ぐ。
まるで、春が終わる少し前に、仲良くなれた私達をお祝いしてくれるようだった。
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